トレセン受かりやすいポジションを知りたい人は多いですが、「このポジションなら合格しやすい」と一律に決められるものではありません。JFAのナショナルトレセンでは、選手の潜在的な力、将来性、個性などを重視して選考する考え方が示されており、特定ポジションが有利とはされていません。ただし、地域や年代による候補者数、チーム編成、GKのような専門ポジションの人数によって競争状況が変わることは考えられます。この記事では、GK・DF・MF・FWそれぞれの見られやすい能力、複数ポジションへの対応、セレクションで自分の良さを伝える方法まで整理します。
トレセン受かりやすいポジションは一概に決められない
結論からいうと、「GKなら受かりやすい」「サイドバックなら穴場」といった全国共通の法則はありません。トレセンは試合のためだけに選手を集める仕組みではなく、将来性のある選手を発掘し、個の能力を伸ばす育成の場だからです。一方、実際の選考ではポジション構成も必要になるため、その地域・年代の候補者層によって競争率が変わる可能性があります。
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| 最も受かりやすいポジション | 全国共通で決められるポジションはありません |
| GK | 専門性が高く、上位カテゴリーではFPとは別の考え方で選考される場合があります |
| DF | 守備だけでなく、判断、ビルドアップ、攻撃参加なども重要です |
| MF | 技術、認知、判断、攻守への関与など総合力を示しやすいポジションです |
| FW | 得点力だけでなく、動き出し、突破、守備への切り替えなども見られます |
| 複数ポジション | 対応できることは強みになりますが、本来の長所が薄れるポジション変更は逆効果になる場合があります |
| 選考で重要なこと | 現在の完成度だけでなく、潜在能力、将来性、個性をプレーで示すことです |
「人数が少ないポジション=受かりやすい」とは限らない
候補者が少ないポジションなら有利になるように思えますが、単純に応募人数だけでは判断できません。たとえばGKの候補者がFPより少なかったとしても、選出されるGKの人数自体も少ないため、必ずしも競争率が低くなるわけではありません。
また、トレセンでは単に各ポジションの人数を埋めるためだけに選手を選ぶわけではありません。必要な技術水準や将来性が評価されるため、人数の少なそうなポジションへ変更するより、自分が最も良いプレーを見せられる場所で勝負するほうが基本的には合理的です。
ナショナルトレセンでは潜在能力・将来性・個性を重視
JFAが公表しているナショナルトレセンの選考では、潜在的な力、将来性、個性などを重視し、将来の日本代表につながる選手を選出する考え方が示されています。つまり、現在の試合で点を取れるか、体が大きいかという一つの要素だけで判断されるものではありません。
特に育成年代では、身体の成長時期に個人差があります。現時点で体格的に目立たなくても、技術、判断の速さ、ボールへの関わり方、相手を見てプレーを変えられる力など、自分ならではの良さを示すことが大切です。
地域・年代によってポジション事情は変わる
地区トレセン、都道府県トレセン、地域トレセンでは、その年に集まる選手のタイプが毎回同じとは限りません。ある年代では優秀なFWが多く、別の年代ではDFが多いということもあり得ます。そのため、前年に特定ポジションから多く選ばれたからといって、翌年も同じ傾向になるとは限りません。
「去年は左利きのDFが少なかったらしい」といった情報だけでポジションを変更するのはおすすめできません。自分の所属チームでの役割や得意なプレーを土台にしながら、複数の役割をできるようにしておくほうが長期的な成長にもつながります。
GK・DF・MF・FWでは何を見られやすい?
ポジションによって要求される役割には違いがあります。しかし、トレセンでは「FWだから点だけ」「DFだから守備だけ」という評価ではなく、サッカー選手として総合的にプレーできるかが重要です。自分のポジション特有の強みに加え、ボールを扱う技術、状況判断、攻守の切り替えなどを意識しておきましょう。
GKは専門技術とフィールドプレーの両方が重要
GKは他のポジションとは異なり、キャッチング、シュートストップ、クロス対応、ポジショニングなど専門的な能力が必要です。さらに現在のサッカーでは、足元の技術やパスによる攻撃の組み立てへの参加も重要になります。
JFAのナショナルトレセンでは、GKについてFPとは別に選考人数が設定され、GKプロジェクトで選考する形が採られるカテゴリーもあります。このことからも、GKが専門性の高いポジションとして扱われていることが分かります。
ただし、「GKは人数が少ないから簡単」と考えるのは適切ではありません。GK枠自体が限られるため、専門性の高い選手同士で比較されます。普段GKをしていない選手が、合格目的だけで急にGKへ転向する方法は現実的ではありません。
DFは守れるだけでなくボールを前進させる力も大切
センターバックやサイドバックでは、対人守備、カバーリング、ポジショニングといった守備能力に加えて、ボールを奪った後のプレーも重要です。相手が来ている方向を確認し、味方へ正確につなげられる選手はプレーの幅を示しやすくなります。
センターバックなら、相手FWとの1対1だけを見るのではなく、味方DFとの距離、背後のスペース、前方の味方まで確認することが重要です。サイドバックでは守備と攻撃の両方に関わり、どのタイミングで前へ出るかという判断も求められます。
「DFは目立たないから不利」と考える必要もありません。派手なドリブルや得点がなくても、危険を予測して早く動く、相手の攻撃を限定する、奪った後に攻撃へつなげるといったプレーで能力を示せます。
MFは認知・判断とプレーへの関わり方を示しやすい
MFはボールに触れる場面が多くなりやすいため、技術や判断を示す機会があります。一方、ボールを持つ時間が長いことが評価につながるとは限りません。周囲を確認し、必要ならワンタッチやツータッチで素早くボールを動かす判断も重要です。
中央のMFでは、ボールを受ける前に首を振り、相手と味方の位置を把握しておくことがポイントです。前を向ける場面で安全な横パスだけを選ぶのではなく、前進できるタイミングを見逃さないことも大切です。
攻撃的MFならゴールにつながるプレー、守備的MFならボール奪取や危険察知など役割は変わりますが、どのMFでも「状況を見て何を選択したか」という部分がプレーに表れます。
FWは得点以外の動きでも評価につながる
FWでは得点やシュート能力が分かりやすい強みになりますが、ゴールを決められなかっただけで良いプレーができなかったとは限りません。相手DFの背後への動き、ボールを引き出す動き、味方のためにスペースを空ける動きなども重要です。
さらに、ボールを失った直後に守備へ切り替えられるか、前線から相手の攻撃方向を限定できるかといったプレーもあります。「点を取って目立とう」とボールばかり追いかけると、かえってポジショニングが崩れる場合があります。
FWを希望する選手は、自分がボールを持っていない時間にも何をしているかを意識すると、プレーの質を高めやすくなります。
ポジション変更でトレセン合格を狙うのは有効?

合格だけを目的に、本来とは違うポジションへ無理に変更することは基本的にはおすすめできません。一方で、普段から複数ポジションを経験しておくことには大きな意味があります。重要なのは「穴場を探すための転向」ではなく、異なる役割を理解して自分のプレーの幅を広げることです。
得意ポジションで自分の武器を示すことが基本
まず優先したいのは、自分の長所が最も出るポジションです。足が速く背後への抜け出しが得意なら、その武器をFWやサイドで示す方法があります。相手の動きを読んでボールを奪うことが得意なら、DFや守備的MFで長所を見せられるでしょう。
トレセン選考では短い時間の中でプレーを見られるケースがあります。そのため、慣れていないポジションで迷いながらプレーするより、普段から経験している場所で判断の速さや自分の個性を出すほうが自然です。
複数ポジションをできることには意味がある
一つのポジションしか経験してはいけないわけではありません。むしろ育成年代では、さまざまな位置を経験することでサッカー全体を理解しやすくなります。センターバックを経験したMFならDFが欲しいサポートを理解でき、FWを経験したDFなら相手FWが嫌がる守備を考えやすくなります。
複数ポジションに対応できる選手は、試合状況に応じて異なる役割を担える可能性があります。ただし、単に「右SB、左SB、MF、FWが全部できます」と申告することより、それぞれの位置で適切な判断ができることのほうが重要です。
左利きだから自動的に有利になるわけではない
左利きの選手は、左サイドで自然な体の向きからプレーしやすいなどの特徴があります。しかし、「左利きならトレセンに受かりやすい」と断定できる根拠はありません。利き足は選手の特徴の一つであり、それだけで選出が決まるものではないからです。
左足で正確なキックができるのであれば、その特徴を実際のプレーで生かすことが重要です。左利きという属性そのものではなく、パス、クロス、シュート、ボール運びなどでどのような価値を生み出せるかを考えましょう。
「空いていそうなポジション」だけを狙わない
トレセンのためだけにポジションを選ぶと、その後の成長を考えたときに遠回りになる場合があります。たとえば所属チームではMFとして多くの経験を積める選手が、「サイドバックのほうが人数が少なそう」という理由だけで突然ポジションを変えても、本来の能力を十分に発揮できない可能性があります。
ポジション変更を考えるなら、担当コーチと相談し、自分にどんな長所があり、どの位置ならその特徴を生かせるかを確認する方法が現実的です。
トレセンで選ばれるためにポジション以上に意識したいこと
選考に向けて優先したいのは、受かりやすそうなポジション探しよりも、どのポジションでも必要になる基本能力を高めることです。技術だけではなく、ボールを受ける前の準備、判断、攻守の切り替え、味方との関係づくりまで含めてプレーを改善すると、自分の良さを発揮しやすくなります。
ボールを受ける前に周囲を見る
トラップしてから周りを見る選手と、ボールが来る前に状況を確認している選手では、その後の判断速度に差が出ます。ボールを受ける前に味方、相手、スペース、ゴール方向を確認しておけば、最初のタッチをどこへ置くかも決めやすくなります。
これはMFだけの技術ではありません。DFが相手のプレスを受ける場面でも、FWが相手DFを背負ってパスを受ける場面でも必要です。選考日に突然できるものではないため、普段の練習から「ボールが来る前に見る」習慣をつけることが重要です。
ボールを持っていないときにも関わる
サッカーでは、一人の選手がボールを持っている時間は限られています。そのため、ボールを持った場面だけ頑張るのではなく、オフザボールの動きを改善することが必要です。
- 味方がパスを出せる位置へ動く
- 相手から離れてパスコースを作る
- 味方のドリブルに合わせてスペースを空ける
- ボールを失ったら素早く守備へ切り替える
- 味方が抜かれたときにカバーへ入る
- ゴールへ向かえる場面では前向きな選択肢を作る
こうした動きはボールに触らなくてもチームを助けます。「自分にパスが来なかったから何もできなかった」と考えず、自分が周囲へどんな影響を与えられるかを見ることが大切です。
ミスを恐れて安全なプレーだけにしない
セレクションではミスをしないことばかり考えると、自分の特徴が出にくくなる場合があります。もちろん無理なドリブルや難しいパスを繰り返せばよいわけではありませんが、前を向ける場面、仕掛けられる場面、縦パスを通せる場面では適切なチャレンジも必要です。
重要なのは、成功したか失敗したかだけでなく、状況を見て適切な選択をしようとしていることです。ミスをした後にプレーを止めず、すぐボールを奪い返すために動くことも大切です。
自分の武器を一つ説明できる状態にする
選考前には、「自分は何が得意な選手なのか」を自分自身で整理しておくとよいでしょう。「何でも平均的にできます」よりも、特徴のある選手はプレーの方向性を明確にしやすくなります。
たとえば「相手の背後へ出るタイミング」「1対1の守備」「左右へのパスの展開」「スピードを生かしたドリブル」「ゴール前での動き出し」などです。ただし、自分で得意だと思っているものと指導者から見た評価が違うこともあるため、所属チームのコーチに聞いてみるのも有効です。
セレクション当日に力を出すための実践ポイント
トレセン選考では、限られた時間で普段の実力を出す必要があります。そこで重要なのは「審査員にアピールするための特別なプレー」ではなく、普段できているプレーをゲームの中で適切に出すことです。目立とうとし過ぎてプレースタイルを変えるより、自分の長所をチームプレーの中で表現しましょう。
最初からドリブルやシュートばかり狙わない
選考では「目立たなければいけない」と考え、ボールを持つたびにドリブルしたり、遠い位置からシュートしたりする選手もいます。しかし、サッカーでは状況に合った選択が必要です。
パスを出すべき場面ではパスを出し、仕掛けるべき場面では仕掛けることが基本です。味方と連係しながら自分の得意なプレーを出せれば、個人能力とゲーム理解の両方を表現できます。
失敗した直後のプレーを大切にする
選考中にパスミスやトラップミスを一度もせず終えることを目標にする必要はありません。大切なのは、失敗した瞬間にプレーを止めないことです。ボールを奪われたらすぐに守備へ切り替え、自分で取り返す、相手の攻撃を遅らせるといった次の行動へ移ります。
一つのミスを引きずると、その後の判断まで消極的になってしまいます。「次のプレーへ移る」という習慣は、選考のためだけでなく普段の試合でも役立ちます。
声を出すなら具体的な情報を伝える
大声を出すこと自体が目的ではありません。声を使う場合は、「ターンできる」「後ろに相手がいる」「右が空いている」など、味方の判断に役立つ情報を伝えることが重要です。
また、味方を責める声ではなく、プレーを助けるコミュニケーションを意識しましょう。GKやセンターバックのようにピッチを広く見やすいポジションでは、味方へ状況を伝えることも重要な役割です。
希望ポジション以外を任されても対応する
選考形式によっては、自分が希望しているポジションとは異なる場所でプレーする可能性もあります。JFAアカデミーの選考案内でも、希望ポジションが必ず通るとは限らず、複数ポジションを行う場合があることが示されています。
そのため、違うポジションを指示された際に「ここは自分の場所ではない」と考えるより、その役割でできることを考える姿勢が大切です。普段から隣接するポジションを経験しておくと対応しやすくなります。
親子で知っておきたいトレセン選考の考え方

トレセンに選ばれることは一つの目標になりますが、育成年代の最終目的ではありません。選考結果だけで子どもの能力や将来性を決めつけず、今回どの力が通用し、どこを伸ばせばよいのかを考える機会にすることが大切です。特に成長期は体格差が大きいため、短期間の結果だけで評価を固定しないようにしましょう。
落選=そのポジションに向いていないとは限らない
トレセンに選ばれなかったからといって、現在のポジションをやめる必要はありません。選考では参加人数、選手構成、その日のコンディションなどさまざまな要素が関係します。
また、育成年代は数か月から数年で大きく成長します。身体的な成長だけでなく、判断力や技術が急に伸びる選手もいます。結果を受けてすぐに「FWは無理だからDFへ」と決めるのではなく、所属チームの指導者から具体的な課題を聞き、改善につなげる方法が適しています。
「目立ちなさい」より具体的な目標を決める
保護者から「とにかく目立ってきなさい」と言われると、子どもが普段とは違う無理なプレーを選ぶ場合があります。それよりも、「周りを見てからボールを受けよう」「ボールを失った後の切り替えを早くしよう」など、具体的で実行できる目標を設定するほうがプレーに集中しやすくなります。
選考後も、合否だけを聞くのではなく「自分の得意なプレーを出せたか」「どんな相手が上手かったか」「次に何を練習したいか」という振り返りをすると、その経験を成長につなげやすくなります。
所属チームの指導者に評価を聞く
自分に合うポジションを知りたい場合、普段のプレーを継続して見ている指導者へ相談する方法があります。「トレセンに受かりやすい場所はどこですか」ではなく、「自分の長所が一番出るポジションはどこですか」「今足りない力は何ですか」と聞くと具体的な助言を得やすくなります。
そのうえで、必要に応じて別のポジションも経験するとよいでしょう。選考のための一時的なポジション変更ではなく、長期的にサッカー選手として成長する視点で考えることが重要です。
選考要項は参加する地域の最新情報を確認する
トレセンは地区、都道府県、地域、年代などによって運営や選考方法が異なる場合があります。申し込み方法、推薦の有無、選考日程、対象年代などについては、参加予定の都道府県サッカー協会や地区サッカー協会などが公表する最新の要項を確認してください。
過去年度のブログやSNSに掲載された選考方法が現在も同じとは限りません。特に「この地域ではこのポジションが不足している」といった非公式情報は毎年変わり得るため、合格戦略の前提にしないほうが安全です。
まとめ
トレセン受かりやすいポジションを一つに決めることはできません。GKは専門枠として扱われる場合がありますが、選出人数も限られるため、単純に受かりやすいとはいえません。DF・MF・FWについても、その年の候補者構成だけで有利不利を判断するのは困難です。大切なのは、受かりやすそうな場所へ無理に変更することではなく、自分の長所が出るポジションで技術、認知、判断、攻守の切り替え、個性を示すことです。複数ポジションの経験も生かしながら、自分の武器を伸ばすことを優先しましょう。
